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■甲状腺眼症について
甲状腺機能異常に伴う眼疾患です。

 症状の概要
甲状腺機能の異常(バセドウ病、橋本病など)でホルモンの値に異常があると、眼球が出たり瞼が腫れたりします。このような甲状腺の病気に特有な眼症状があるものを甲状腺眼症と呼びます。

甲状腺眼症のうち、甲状腺ホルモンは正常で甲状腺抗体値などだけが異常である人もいます。また、血液検査では全く異常がなく症状だけが合致する人も30%程度います。

ホルモン異常があれば内分泌内科での治療が必要ですが、眼症状が主であれば眼科で治療を行います。


 甲状腺は大丈夫なのか

ホルモンの値が正常であれば、内科的治療の対象となりません。ただし、将来的に機能亢進症あるいは低下症を起こす可能性はあります。


 症状

【複視】
眼球を動かす筋肉が炎症を起こすため起こります。初期には炎症で腫れているため動きにくくなります。炎症が落ちついても筋肉が線維化して硬くなるので症状が残ります。点滴治療や放射線治療後、完全に炎症が落ち着く半年くらいを見計らって斜視の手術をすることがあります。


(図1)※画像クリックで拡大

(図2)※画像クリックで拡大
(図1)(図2)
眼球周囲の筋肉が腫れて太くなっています。
このような筋肉は伸縮ができず、物が二つに見えます。

【上眼瞼が開きすぎる】
上眼瞼を持ち上げる筋肉は2種類あります。
 眼瞼挙筋 普通に眼を開けようとするときに使う筋肉です。
この筋肉が炎症を起こして縮んでいると眼が開きすぎてしまいます。
落ち着いた後でこれをゆるめる手術をすることができます。
 ミューラー筋 自分の意思とは関係なく緊張したりゆるんだりする筋肉です。
点眼薬で治ることがあります。

【眼球突出】
筋肉が腫れたり、眼の奥の脂肪が増えたりすることにより起こります。

【上眼瞼が腫れる】

【ドライアイ】

【逆さまつ毛】

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 治療
○ステロイド投与
ステロイドホルモンは通常の体の中に1日5mg出ています。それを1日に500〜1000mg投与するのがステロイドパルス療法です。
点滴を3日続けて4日休むというサイクルを2〜3回行います。
そのあとは30mgくらいの内服薬を使い、徐々に減らして体が驚かないようにします。

※ステロイドの副作用※
  • 感染 免疫力が低下するので、気をつける必要があります。
    喉から入ってくる菌を避けるために人ごみではマスク、戻ったらうがいをしてください。
    手をよく洗って下さい。尿道から感染しないように下着はきれいに保って下さい。
  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍 胃薬を飲んで頂きますが、空腹または満腹時にみぞおちに痛みを感じたら医師にご相談ください。
  • 糖尿病 元々遺伝的に要素のある人は、血糖値が上がることがあります。
  • 食欲が増えたり眠れなくなったり気分的に暗くなってしまうことがありますが、これらの症状はステロイドをやめると治ります。
  • 筋肉痛、筋力低下 ステロイド投与終了頃に起こることがあります。
  • 手足のしびれ、骨粗しょう症、しゃっくりが、長期投与の場合起こることがあります。

○放射線照射
点滴が終了した後に再発を避けるために行います。体質から来る病気ですので、一見問題がないと思われても両眼に行うことがあります。
甲状腺の場合には放射線の当て方を工夫して、腫瘍などの病気に比べて半分以下の量しか当てません。しかし白内障が進行したり、糖尿病のある方は眼底出血を起こしたりすることがあります。

○手術
6ヶ月以上炎症が落ち着いているのを確認してから手術をすることがあります。炎症が残っているうちに手術を行うと、術後の炎症が治ったときに効果が予想外に現れてしまいます。

○斜視手術
物が二つに見える症状に対し行います。ただし両眼のバランスを整える手術であって、眼球の動きを良くする手術ではありません。

○眼瞼挙筋延長術 
上眼瞼が上がって白目が出ているのに対し、眼瞼挙筋をゆるめて整容面を加味した手術です。

○結膜下ケナコルト注射 
上眼瞼が上がって白目が出ているのに対し、瞼の裏に長く効くステロイドを注射する治療です。発症初期にしか効果がないことがあります。また局所的ステロイドの投与にて眼圧が上がって緑内障になることがあるので注意が必要です。

●生活上、気をつけること
ストレスをためないようにしましょう。
タバコは吸わない方がいいでしょう。

●おわりに
発症初期に治療できると、点滴や放射線だけで治ることがありますが、発症後しばらくたった場合は手術が必要になることがあります。入院は数週間にわたりますが、加速度的に症状が改善されるわけではありません。気長な治療が最善と思われます。
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