眼形成手術手技 動画説明【涙嚢鼻腔吻合術 鼻外法】

項目

はじめに
( I ) 術前に行うべきこと
( II ) 涙嚢鼻腔吻合術2弁法
涙嚢鼻腔吻合術2弁法(VIDEO)
涙嚢鼻腔吻合術(マクロVIDEO)

( II ) 涙嚢鼻腔吻合術2弁法

手術の目標

理想的な骨窓と粘膜吻合を作るべく、下記のことを念頭において操作を進める。

ポイント
骨窓作成における目標

○内嘴靭帯の直下より始まる
○縦横径がそれぞれ10mm
○縁は直線で角は直角

骨窓の位置

骨窓を開けると鼻粘膜・涙嚢粘膜の裏側が露出する。これらに切開を入れて弁を作成し、吻合するのである。

ポイント
粘膜吻合における目標

○矩形で大きな粘膜弁を作成する
○骨窓をできるだけ粘膜で覆う

皮膚切開

手技

○内嘴靭帯の上から前涙嚢陵に合わせて20mm
○局注は皮下と骨膜下に

皮膚切開予定線をピオクタニンでマークする。内嘴靱帯の上縁から鼻涙管に相当する位置まで、皮膚割線にできるだけ沿わせてデザインする。長さは20mm程度を目安にすると良い。キシロカインE入りを局注し、しばらくおく。局注は切開線皮下にまず行い、さらに前涙嚢陵前の骨に垂直にあてて行う。それぞれ皮膚切開時の止血と骨膜剥離を容易にするのが目的である。皮膚切開に用いるメスは15cという丸刃の型が、先が小さく便利である。涙嚢炎があり皮膚瘻が形成されかけているときには、縫合を考えてその菲薄化した皮膚は避け皮膚切開する。

前涙嚢陵の展開

手技

○まずは内眥靭帯を露出する
○最終的な骨窓の位置を意識して、骨膜を露出する

まず最初に内嘴靭帯を露出する。特に骨への付着部を明らかにし、周囲組織を開窓鉤で挙上しておく。この操作が重要なのは、①内嘴靭帯の付着部から創を展開すれば、間違いなく前涙嚢陵を露出できる、②総涙点は内嘴靭帯の高さにあるので、この近くの骨に骨窓を形成しなければならない、③術中に内嘴靭帯は位置関係を把握するための指標となるからである。できる限り鈍的に筋層を分けてアプローチし、必ず内嘴靭帯の付着部を含めて、前涙嚢稜付近の骨膜を露出する。

骨膜の切開と剥離

手技

○コの字型の骨膜切開
○上は内嘴靭帯に平行して
○前涙嚢稜に沿う部分は2mm鼻側を
○下は骨窓の縦径が10mmになるように
○ピオクタニンでマークしてメスで切開

骨窓の作成

手技

○最も鼻腔への距離が近い部分から骨窓を形成
○後涙嚢陵を目指して骨切除を進める
○粘膜を傷つけないように注意する

最終的に骨窓は、内嘴靭帯の直下より始まり縦横径がそれぞれ10mmで、縁は直線で角は直角であるのが理想である。そのためには上記の骨膜切開が必要となる。
骨膜切開部より骨膜剥離子にて骨膜を剥離する。まず涙嚢窩を剥離する。このとき、涙嚢側骨膜の上下端にスプリング剪刀で小切開を入れると展開しやすい。後涙嚢陵まで剥離をし、コメガーゼを切って5000倍ボスミンに浸したものをつめておく。さらに骨膜の縁に通糸し、耳側に牽引しておくと後の操作がしやすい。次に鼻側の骨膜を剥離する。これは、前涙嚢陵から剥離して数mmのところで骨と癒着の強い部分があるが、それを数mm越えるところまで行う。通常7-8mm程度となる。 
前述の骨窓形成の目標を満たすまでになったら、涙点よりブジーを挿入し、涙嚢壁を軽くつついて、それが骨窓内に出ていることを確認する。総涙点のレベルまで骨窓が形成されているかを確認する操作である。
ときどき、篩骨蜂巣が前方まで発達しており、後弁を吻合するのに障害になることがある。その場合は適宜篩骨の菲薄な骨ごと後方に押しやって、吻合部が大きくできるように準備する。

粘膜弁の作成

手技

○涙嚢粘膜で後弁を、鼻腔粘膜で前弁を
○先に涙嚢を切開、通水を確認して鼻腔粘膜を切開
○骨窓ぎりぎりまで大きく粘膜をコの字型に切開する

まず涙嚢粘膜をコの字型に切開する。後弁を形成するので、後方を基部にして弁を作成する。具体的には、涙点よりブジーを挿入し、涙嚢壁に当ててわずかに盛り上がらせ、その部分を11番などの尖刃のメスで切開する。涙嚢の内腔に交通がついたら、スプリング剪刀の片刃を内腔に入れて切開予定線に合わせて固定し、剪刀を閉じて切開する。角は直角に、上下端は骨窓ぎりぎりに切開する。涙嚢の前方では、弁の残りの粘膜は前弁の縫い代として必要なので少し余裕を持たせる。
後弁ができたところで涙点より通水し、涙点から総涙点までの閉塞がないことを確認する。また貯留している粘液を洗浄する。
次に鼻腔粘膜を切開する。露出している鼻腔粘膜の最も後方から切開する。11番メスを粘膜に垂直に当てて、鼻腔に留置したボスミンガーゼまで一気に全層を切開する。先ほど切開した涙嚢に比べてはるかに分厚い。上下縁も続けて切開する。このとき骨窓の骨を削ぐほどのつもりで、ぎりぎりまで大きく粘膜弁を作成する。

粘膜弁の吻合

手技

○7-0の非吸収糸にて、2針ずつ縫合
○結び目は粘膜裏面側に

矩形に作成した粘膜弁の角を無理なく上下に伸ばし、相手側の粘膜と縫合する。できるだけ多くの面積を粘膜で覆うことができるように留意する。粘膜への通糸は全層となるようにし、結紮部が粘膜の外側に来るように縫合する。最も困難なのが後弁の鼻腔粘膜側である。狭い術野で針を回そうとすると、粘膜全層にかけられなくなる。必ず粘膜裏面の骨膜と粘膜上皮の双方に針を刺し、そのまま針を返せないなら一旦鼻腔のガーゼの中に針を落としこんでから引き上げると確実な通糸ができる。上下の角に1針ずつ通糸できれば十分であり、逆にそれ以上はかけにくい。
縫合糸には7-0ポリプロピレン糸やナイロン糸を用いる。
後弁を縫合し、シリコーンスポンジを留置してから前弁を縫合する。前弁も注意点は同じである。

シリコーンスポンジの留置

手技

○5mm径のシリコーンスポンジを留置
○内嘴靭帯に固定
○鼻腔に軟膏ガーゼで固定

網膜剥離用の5mm径のシリコーンスポンジを、4cm程度に切って用いる。このスポンジは、粘膜吻合の狭窄を妨げるために留置し、1ヵ月後に鼻孔から抜去するものである。まず鼻用の膝状鑷子で把持して鼻孔から挿入し、術野で把持しなおす。そしてスポンジの上端の一部に7-0糸を浅く通糸して、内嘴靱帯に縫合する。後弁の吻合部をまたいで、かつ総涙点を塞がない位置に留置されるべく糸を長めにとって縫合する。
鼻腔内での固定は、鼻鏡にてスポンジを鼻背に寄せ、抗生剤入り軟膏つきガーゼ1枚にて固定する。この操作でスポンジが上方に過度に偏移させられていないか確認する。涙点より通水し、総涙点がスポンジで塞がれていないことを確認する。

閉創

手技

○骨膜縫合
○皮膚縫合
○ガーゼの小枕

骨膜を縫合する。涙嚢側は牽引糸をかけておいた箇所に通糸する。鼻側は、奥から鑷子で引っ張り出してくる。骨膜切開のとききれいにコの字型にしておくと、この縫合がしやすい。皮膚を7-0で縫合する。創は元々凹面の部分に形成されている。それに合わせてコメガーゼで小枕をつくり、幅の細いテープで固定して、元の位置になじませる。

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