理論【眼窩脂肪脱】

はじめに

眼窩脂肪脱(Orbital fat prolapse)は、眼瞼皮下と結膜下に生じ得る。
筋円錐内の脂肪織がテノン嚢の脆弱部から結膜下にヘルニアを起こすと、結膜下脂肪脱として認められ、
筋円錐外の脂肪織が眼窩隔膜の脆弱部から皮下にヘルニアを起こすと、眼瞼脂肪脱として認められ ると考えられている。
強膜の前に脱出した結膜下の脂肪は、CT等の画像検査にて、筋円錐内の脂肪織と連続していることが確認されている。 結膜下脂肪脱の原因は主に加齢であるが、他に外傷、テノン嚢下への注射が原因になることがある。鑑別診断として、脂肪腫、涙腺脱、リンパ腫があげられる。 手術適応は、明らかに脂肪が脱出していて、患者の希望があれば行う。摘出に際して脂肪を牽引すると、脱出していなかった脂肪まで引き出されることがあるが、少量であるので大きな問題にはならない。

結膜下脂肪脱の病態と治療

結膜下脂肪脱である。機能的な問題はあまりないが、やはりうっとうしいものである。

テノン嚢は眼球全体を包む組織であり、直筋はテノン嚢を貫いて眼球に付着している。

直筋同士の間には筋間膜(intermuscular septum)があり、これと直筋にて脂肪織は眼窩内外に仕切られている。
この筋間膜は直筋と共に眼窩先端部から眼球に向かって走行し、直筋が眼球に付着する周辺でテノン嚢と融合する。

結膜下脂肪脱は、テノン嚢が筋間膜と融合する近辺で破綻し、深部にあった眼窩脂肪が脱出する病態である。
脱出した脂肪はもはや返納できないので切除し、ヘルニア門となったテノン嚢の破綻部位を縫合して修復することが手術治療の目的である。
若年の症例では脱出した脂肪の前に前部のテノン嚢が認められる。

脂肪を少し引き出して切除し、テノン嚢のヘルニア門を確認する。

破綻したテノン嚢を縫合し、結膜を縫合して終了する。

皮下脂肪脱の病態

皮下脂肪脱である。眼窩脂肪が皮下に脱出している。

皮下脂肪脱のMRI矢状断である。筋円錐外の眼窩脂肪との連続性が確認される。

上記のシェーマである。眼窩隔膜が脆弱化しているのが原因である。

眼窩前方の眼窩脂肪は内外制御靭帯(内外嘴靭帯より深部に存在)を境に上方と下方に分かれている。
上方の脂肪層は内側と中央の2つ、下方の脂肪層は内側、中央、外側の3つの区画に分けられている。

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