先天内反

内反症は、逆さまつげのことです。生まれつきのものと加齢によるものがあり、全くことなります。

1)先天性睫毛内反とは

先天内反症とは、生まれつきの逆さまつげのことです。


まぶたから睫毛が生えてくる向きに問題があります。特に目頭側で眼球にさわっていることが多く見られます。
両眼の場合と片眼の場合がありますが、それらは少し性質が異なります。
両眼の場合は目の下の肉が多いことが最大の原因です。生まれつき認められることが多く、生後6ヶ月くらいではいはいをして顔の肉が落ちてくると自然に治ってくることが多いです。その後も顔が小児の顔から学童の顔に変化してくる際に自然に治ることが期待できます。

片目の場合は顔の歪みが原因であることが多いです。

頭の形や顔の形に左右差がある場合、特に眼球やおでこが出ていて下がっている側が逆さまつげになりやすい傾向があります。これは骨格から来る問題ですので、顔が大人になっても治りにくいことが多く、早めの治療の対象になります。写真の症例はどちらも右目の下まぶたの内反症です。顔に歪みがあり、眼と頬骨が出ている方が内反になりやすいです。また、黒目の下に少し白目が出ることが多いです。

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両目でも片眼でも、高校生になっても明らかに睫毛が入っていて症状があるなら、これ以上経過を見ても症状から解放されることがあまり期待できなくなります。中学生、高校生になりますと、人によっては局所麻酔での手術が受けられるようになります。本人の自覚症状の重さに応じて、そのあたりの年齢で治療を検討すると良いでしょう。実際、高校入学前の春休みに手術を受ける方が多いです。

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2)先天睫毛内反の手術適応

様子を見られる症例
・角膜に傷があるが浅く、瞳孔領にかかっておらず、症状もない場合は、手術を回避する方策をとってみて、だめな場合にのみ必要最小限に手術をすることがあります。


手術を考えた方がいい症例
・まぶしい、ゴロゴロする、めやにがでる、充血が強いなどの症状がある場合は積極的に手術を検討します。

眼科医から手術を勧められる症例
・角膜に消えない傷と濁りが出てしまった場合中には瞳孔に近い位置まで角膜の濁りが広がり、視力などに影響を及ぼすこともあります。
写真は小さい頃からあった内反に治療をおこなわないまま大人になり、視力低下があって来院された方の手術後1週間です。すでに角膜にできた白い濁りは消えることはありません。できるだけ再発しないように強めに外に向けて終了しています。こうなる前に治療したかったところです。

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3)手術以外の治療

手術を回避する方法はいくつかあります。ごく軽度であったり、何らかの理由で手術を受けたくない場合には試してみてよいでしょう。手術をする側が言うのもなんですが、手術というものは受けないですめばしない方がいいものです。できるだけ手術を回避できるように努めてみてください。

・ソフトコンタクト
ソフトコンタクトは保護のために用いるわけですが、毎日替えられるものが安全ですので1日使い捨てのものがお勧めです。コンタクトを自分で扱える年齢はその子によって異なりますが、早い子では小学校高学年から始められます。近視や遠視のない子ではごく薄い度のものを用います。度がないもので毎日使い捨てできるものは流通しておらず、度なしなら毎月眼科に通ってそこでつけはずししてもらうことになります。毎日使い捨てのものに比べると危険性が上がりますので、一時的な目的でしかおすすめしません。


・まつげパーマ
まつげパーマは1ヵ月ごとに専門のお店で施術を受ける必要があります。合う人はとてもうまくいくようです。保険ではなく自費となります。保険診療ではないため、病院からお勧めできる施設は特にありません。


・睫毛を抜く
ほんの数本であれば自分で抜き続けている人もいらっしゃいます。また病院で毎月のように抜いてもらう人もいます。それで症状が治まるようであれば問題ないでしょう。最初のうちは痛いですがだんだん慣れてくることが多いようです。眉毛を整えるために抜いている方は、合わせて抜いてみてはいかがでしょうか。

4)先天睫毛内反症の手術

手術の理論
根本的な治療は手術となります。

切開法
先天内反ではスプリットと言う手技を用います。生まれつきまぶたの形とまつげの毛根のつき方が問題があるためまつげの内側に切開を入れると治療効果が高くなります。そして皮膚にも切開を入れてその間にトンネルを作り、毛根を一旦ぶらぶらの状態にさせ、外に向けて固定する糸を入れるという術式になります。睫毛の内側の切開からは少し肉が見えるような形で終了します。そのため数日は手術のあとが生々しい感じになることが避けられません。

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この際皮膚の傷が目のきわから離れていれば離れているほど効果が強く長持ちします。さらに手術の際に目の下の肉や皮膚をたくさん取ってくることができればさらに効果が強くなります。しかしそれでは目の下の涙袋が失われてしまったり、東洋人にはありえないようなシワができてしまったりするため、我々の施設では皮膚の切開をできるだけ目の際にすることにより比較的再発が少なく目立たずに治癒する方法をとっています。
写真は術前、術直後、1ヶ月後です。術後すぐはとても怖い見かけとなりますが、抜糸をする頃には落ち着いています。
1眼瞼につき30分程度要します。

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埋没法
どうしても切開したくない場合、さらにさかさまつげがあまりきつくなく毛先が角膜にちょっと当たっている程度の場合のみ、埋没法を選択することができます。埋没法とはまつげのギリギリのところに糸をかけて少しあかんべーになる位に糸を締めておく術式です。この際にもまつげの内側に少し切開を入れます、2 -3日できれいに皮が張ってきますので目立つ事はありません。ほとんどの方が眼帯もせずにお帰りになります。

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睫毛永久脱毛
目頭の少しの睫毛や、数本だけ入っている睫毛がある場合は、毛根切除術、つまり永久脱毛を検討すると良いでしょう。睫毛を抜いてみて、見かけの問題が気にならなければ適応になります。睫毛を失うとその機能を失う心配をされる方がいらっしゃいますが、すでに正常に機能しておらずむしろ眼を傷つけていますので、自分が見かけさえ気にならなければ問題ないでしょう。少しの睫毛のために皮膚を切ったり目頭切開をしたりしなければならない場合、選択肢の一つとしてお考えください。


麻酔について
中学生または高校生程度から局所麻酔部分麻酔で受けることができます。日帰りが可能です。
小学生以下では全身麻酔となります。入院が必要となることが多いです。東京日帰り手術クリニックでは、年長さんの夏休み以降、または6歳以上で日帰り全身麻酔を受けられます。内反症の手術ができる術者が何人か勤務していますので、そちらに最初からかかるのも良いでしょう。

4)術後のケアなど

費用
内反症手術切開法自体は保険3割の方で片方9000円程度です。そこに日帰り手術では9000円程度の加算があります。よって、両眼の手術では3万円弱かかります。
小さいお子さんの場合は全身麻酔を含めて基本的にすべて保険でカバーされます。ただし入院で個室に入らなければならない場合は、自己負担の個室料金が発生します。金額は病院によって様々で、平均して1日6千円程度と言われています。有楽町の東京日帰り手術クリニックでは、日帰りで全身麻酔手術を受けられます。

術後のケア
手術をした直後は睫毛の内側に入った切開から中のお肉が見えるため少し怖い見かけとなります
ここに抗生剤入り眼軟膏を頻繁に塗っていてもらえると、このお肉の表面にきれいに粘膜が張ってきて目立たなく治ります。
特に2-3日は赤みが目立ちますのと表面にきれいな皮が張るために重要ですので軟膏を1日5回以上できれば10回以上塗って下さい。目に入っても問題ない軟膏です。ただし入るとスマホ等チラチラした画面が見えにくくなります。手術の術後2-3日はあまりものを見なくても良い日程を選ぶべきでしょう

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あとが残らないように皮膚の切開線をまつげに近づけ、あまり変わりがないようにお肉をあまりとらないようにすると、どうしても再発が多くなります。再発は早い人で半年で、通常2年以内に起こります。手術をくりかえすことに問題はありませんが、だんだんまつ毛が乏しくなっていきます。しかし、もし手術を繰り返すとしても、変なシワをつけたくはないので、この目の際を切開する方法を選んでいます。

まぶたの手術ではありますが、眼球に何がおこるかわかりませんので、お子さんの場合は術後一週間以内に視力検査を受けてください。

禁止事項
安静は必要ありません。お子さんに安静を期待することはできません。翌日から顔を洗ったり湯船に入ったりして問題ありません。
術後は眼のきわが赤く痛々しい傷として目立つことがあります。見かけが気になるようであれば、バンドエイドを切ったものを貼ってみるなどしてください。


プールは医学的には翌日から問題ありません。しかし傷が新しい間はゴーグルがつけにくく、周りの方から見て気になると思われますのでその兼ね合いでお考えください。


コンタクトレンズも翌日から問題ありません。しかしまぶたを触るのがこわいですし、軟膏をつける必要がありますのであっという間に曇ってしまうことでしょう。抜糸が終わったころにつけ始める人が多いです。
幼稚園、保育園も翌日から問題ありません。これも周囲のお子さんとの関係でお考えください。通常、2−3日休むお子さんが多いようです。